ニットーボーメディカル株式会社~検査現場から医療を支える~

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弊社の親会社である、日東紡績株式会社と千葉大学医学部附属病院(病院長:齋藤 康 以下千葉大学)は平成18年5月1日より3年間に渡り、「疾患プロテオミクス寄付研究部門」を設立しております。

このコーナーでは、本寄附研究部門の統括責任者である野村文夫教授に『臨床検査に向かう疾患プロテオミクス』との題で4回にわたり連載いただきます。

第4回 臨床検査に向かう疾患プロテオミクスその4

2009年1月5日

野村文夫 千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学教授
千葉大学医学部附属病院検査部長
千葉大学医学部附属病院疾患プロテオミクス寄付研究部門長

5.おわりに

臨床検査の立場から疾患プロテオミクスを見ると、大きくDiscovery ProteomicsとMeasurement Proteomicsに分けられる。いまだ大勢はDiscovery Proteomicsの段階であるが、プロテオミクス解析技術の進歩を活用し、一つの機器に頼りすぎることなく、複数の機器の利点を生かしたMeasurement Proteomicsにいかに進んでいくかが課題と思われる。と同時に蛋白質の翻訳後修飾に焦点をあてたモディフィコミクスにも取り組む必要がある。また、網羅的プロテオーム解析の成果は診断応用だけでなく、病態解析や治療標的の開発にもつながることが期待される。

疾患プロテオミクス研究には正確な診断、適切なサンプリングと検体保存、最新の解析技術の適切な利用、バイオインフォマティクスツールのすべてが必要であり、我々は学内の診療科(消化器内科・消化器外科、泌尿器科、耳鼻科、呼吸器内科、神経内科、救急部、産婦人科、小児科)および北里大学理学部物理学科(前田忠計教授)、東京医科歯科大学情報医科学センター(田中博教授)と共同研究を進めている。疾患プロテオミクス研究はその成果が直接、新規疾患マーカーの発見につながる。したがって、 discovery phaseで見出された疾患マーカー候補のvalidationを行ったのち、 簡 便な測定系を開発して臨床応用に速やかに進む必要がある。この意味で、昨年5月に日東紡績により千葉大学医学部附属病院内に設置された寄付研究部門である疾患プロテオミクス研究部門(図6)の役割はきわめて大きい。設置へのご英断に心より感謝申し上げると同時に、その部門長としての重責を感じている。

従来の臨床検査の限界を肌で感じ、新たなマーカーの必要性を最も痛感しているのは現場の人間、すなわち検査を依頼する医師、実施する臨床検査技師そして検査試薬を提供するメーカーの 3者である。千葉大学の疾患プロテオミクス研究チームでは医師だけでなく、千葉大学病院検査部などで臨床検査業務に従事している15名の臨床検査技師(博士課程終了5名、博士課程在籍2名、修士課程在籍8名)および6名の日東紡績の兼任研究員が“真に診療に役立つmarker discovery”という共通のゴールを目指している。

これからもご支援・ご指導よろしくお願いいたします。

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